画像:shutterstock 工場労働者
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技能実習生は「現代の奴隷」 若者らが制度廃止を求めるプロジェクトを始動

外国人技能実習生の労働問題に取り組んでいるNPO「POSSE」のメンバーらが2022年3月25日、人権侵害が後を絶たない技能実習制度の廃止を目指す「技能実習制度廃止プロジェクト」を発足させたと発表した。プロジェクトではインターネットを通じて署名を始めているほか、シンポジウムを開くなどして、広く制度廃止への賛同を呼びかけている。

労働者としての権利保障を求め、オンラインで署名活動

署名集めは、オンライン署名サイト「change.org」で行われており、メンバーらは外国人技能実習制度を即時廃止し、実習生に労働者としての権利を保障するよう訴えている。

サイトでの呼びかけによると、現在、日本では約40万人の技能実習生が働いているが、実習生らが働く職場ではさまざまな違法行為や人権を侵害する行為が行われている。厚生労働省の報告では、立ち入り調査をしたうち7割の事業所で労働法違反などが見つかっている。POSSEにも、賃金の不払いやセクハラ、パワハラ、マタハラを受けたという相談などが相次いでいるという。

技能実習制度では、職場で違法行為が起きた場合を除いて、実習生は転職を認められない。さらに違法行為が起きても、立証することは非常に困難で、たとえ、立証できたとしても、受け入れを行う監理団体は大抵の場合、転職の要望に応じない。このため、実習生は我慢して働き続けるか、職場から逃げだすかの究極の選択を迫られている。

また、ほとんどの技能実習生は、来日前に送り出し機関で一定期間研修を受ける必要があり、それらの費用を捻出するため、多額の借金を負っている。こうした借金が実習生に対する脅しの口実に使われることも多いという。

メンバーらは、こうした制度はまさしく「現代奴隷制度」だとして、今すぐ廃止する必要があると訴えている。

セクハラを「我慢するように」と言われ失踪した実習生も

メンバーらは3月25日、東京都内で記者会見を開き、「技能実習制度廃止プロジェクト」の趣旨を説明するとともに、活動への協力を呼びかけた。

25日付の共同通信によると、会見にはカンボジア人の元技能実習生がオンラインで参加。元実習生は2016年に日本の食品工場で働いていたが、監理団体によって強制的に帰国させられたと主張。借金をして来日したのに半年しか働けず、帰国後も返済に苦しんだと訴え、「実習生は労働力を搾取されている。転職を認め、移民労働者として扱ってほしい」と求めた。

代表を務めるPOSSEのボランティア、田所真理子ジェイさん(25)は「実習生は現代版の奴隷だ」と訴え、労働相談を通じて集めた過酷な実態を広く社会に向けて発信し、2年以内の制度廃止を目指す考えを表明した。

「技能実習制度廃止プロジェクト」のブログには、これまで実習生から相談を受けた実例が紹介されている。

イチゴ農家で働いていた、ある実習生は職場の上司から「一緒に寝よう」などと深刻なセクハラを受け、監理団体に訴えたが、「我慢するように」と言われて失踪した。また、ホテルの清掃業務をしていた実習生は、コロナ感染拡大後、コロナ感染者が使用していた部屋を清掃する仕事に異動。勤務開始後2週間ほどで自分も感染したため、「元の職場に戻りたい」と訴えたが、「今の職場が嫌なら、帰国するか、無給で元の職場で働くしかない」と言われたという。

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