画像:岸田首相(©)内閣広報室
画像:岸田首相(©)内閣広報室

岸田首相、尹次期大統領との会談で「日韓は互いに重要な隣国」各紙社説では?

韓国の大統領選挙で、日米韓の協力関係を重視する保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が次期大統領に決まったのを受け、岸田文雄首相は2022年3月11日、尹氏と約15分間、電話会談を行った。両氏は冷え込んでいる日韓関係の改善に向けて協力していくことを確認した。12日に各紙、社説で日韓関係について述べている。

「日韓は互いに重要な隣国」と岸田首相

電話協議後、岸田首相は官邸で記者団の取材に応じた。首相は、当選について改めて祝意を伝えた後、「日韓は互いに重要な隣国であり、健全な日韓関係は国際秩序を守り地域や世界の平和・安定・繁栄を確保するうえで不可欠。さらには日米韓3カ国の連携が重要だ」などと指摘。「日韓関係改善のために共に協力をしていきたい」と述べた。

これに対し、尹氏も「日韓関係を重視しており、関係改善に向けて共に協力していきたい」と述べ、両氏は核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応についても緊密に連携して対応することで一致。対面での会談の早期実現を目指すことも確認した。

日韓関係について、岸田首相は大統領選挙の結果が明らかになった10日、「厳しい状況にあるがこのまま放置することはできない。国と国との間の約束を守ることは基本であり、一貫した立場に基づいて、健全な関係を取り戻すべく新政権と緊密に意思疎通を図っていく」と記者団に語った。

また、10日にはソウルの日本大使館を通じて、「健全な日韓関係は、ルールに基づく国際秩序を実現し、地域と世界の平和や安定、繁栄を確保する上で不可欠だ。次期大統領のリーダーシップに期待する」とのメッセージを送っている。

日本の新聞各紙も日韓関係の修復に期待

現在の日韓関係は「国交正常化以来最悪の状態」とまで言われるほど冷え込み、日韓の正式な首脳会談も19年12月から開かれていない。岸田首相と尹氏が一致したように、まずは関係改善から始めることが必要だ。

その点、保守系の尹氏が大統領に就任することは、日本にとって関係改善に向けてよい兆しとも考えられる。日本の各紙の論調について調べた。

産経新聞は12日付主張(社説)欄で「日韓関係改善のボールは韓国側にある」としたうえで「新大統領が決断しない限りは、日韓関係の改善など望むべくもないことを認識しておくべきである」と書き、慰安婦に関する日韓合意や、戦後賠償問題の完全かつ最終的な解決を明記した日韓基本条約に立ち戻るよう求めた。

同日付東京新聞の社説では「尹氏は一貫して日韓関係重視の発言をしてきた。緊迫する国際情勢の中、両国の協調は欠かせない。せっかく生まれた関係改善の機運を逃してはならない」として、関係改善の好機にすべきだと訴えた。

朝日新聞も同日付の社説で、徴用工問題で賠償を命じられた日本企業の資産の現金化措置について触れ、「尹氏はまず、現金化が好ましくないとの新政権の考えを明示するべきだ。そのうえで、日本政府との新たな交渉態勢を急ぎ整えてもらいたい」と提言した。

日本の新聞各紙では概ね、日韓関係の修復に期待を寄せる論調が目立った。