正しい性教育を広めることで性被害や望まぬ妊娠で苦しむ人をなくしていこうと活動している一般社団法人ソウレッジは、若者らに緊急避妊薬を無償提供する活動のためのクラウドファンディングを2月1日から始めた。3月25日まで受け付ける。
妊娠の不安を抱える若者に緊急避妊薬を提供
ソウレッジが取り組むプロジェクトは「“緊急避妊薬と性知識”で、若者に人生の選択肢を届けたい! #わたしたちの緊急避妊薬」。妊娠の不安を抱く若者が避妊薬を使用しやすい環境と学校外でも性知識を得られる環境の実現を目指す。
具体的には、オンラインでピルを処方するサービス「エニピル」を展開するNext Paradigmと連携し、緊急避妊薬(アフターピル)を必要とする22歳以下の若者1000人に無償で提供する。来年度以降は、地域病院などとも連携し、規模を拡大していくという。また、対話アプリ「LINE」などを活用して性知識や福祉に関する情報を継続して発信するほか、アンケートなどを通じて、緊急避妊薬の需要や処方後の行動などを調べる。これらの活動の成果をもとに避妊薬や避妊具の無償化に向けた政策提言も行う。
実施期間は2022年2月1日から3月25日までで、2000万円を目標にしている。3月4日現在で、4,958,000円が集まっている。
後悔しないよう正しい性知識を伝えたい
緊急避妊薬は、避妊具の着用や避妊薬の服用をしなかったり、コンドームが破れるなど避妊に失敗してしまったりした場合に使用する薬で、妊娠を防ぐための最後の避妊方法となる。早く服用するほど効果があると言われ、72時間以内(3日)以内に服用すれば、約85%の妊娠を防げるとされる。
ソウレッジによると、海外では政策として避妊薬や避妊具を無償化する国もあり、そうした国では中絶率の減少も報告されている。これに対し、日本では緊急避妊薬の価格が8000円から1万5千円程度で、未成年が妊娠の不安を抱いても、すぐに購入できないことが多い。叱られるのが怖くて、周囲の大人に相談できない少女も少なくないという。
今回、プロジェクトに協力するNext Paradigmはピルの利用を広めるために、オンライン処方サービス、エニピルを立ち上げたベンチャー企業。ピルを必要とするすべての人に、安全に早く、手軽にピルを届けようとサービスを展開している。緊急避妊薬はエニピルを通じて提供され、費用はすべてソウレッジが負担する。
ソウレッジでは今回のプロジェクトについて、「一番の目的は避妊薬の無償提供ではなく、それをきっかけに困りごとを抱える若者とつながり、福祉や知識を届ける仕組みをつくること。性の知識がなく後悔をともなう選択をしてしまったときに、必要なサポートを受けられる仕組みをつくりたい」としている。